四国八十八ヶ所 巡り 入門では四国八十八箇所の巡り方、作法、地図、霊場一覧などをご紹介しております。

2010年12月

線香・灯明・経本

次に、線香と灯明、経本についてです。
灯明はろうそくのことです。

【線香(せんこう)と灯明(とうみょう)】
巡拝作法では灯明は一本、線香は三本立てることになっています。
三本の線香をそなえることで、「過去」「現在」「未来」をあらわしているとされています。
それらを、納札の時と同様に、本堂と大師堂のそれぞれにお供えします。
つまり、八十八ケ所の全てを参拝するには、灯明が176本、線香が528本必要ということになります。
線香も灯明も札所で販売されている場合もありますが、その都度買い求めることは割高になってしまうことが多く、また、販売をしていない札所もありますから、お遍路の旅に出発する前に、どちらもある程度まとまった本数を準備しておくことをおすすめします。
線香は、煙の多い少ないや香り、素材などによりお値段もさまざまに異なりますが、長いお遍路の旅の間、ずっと使い続けるものですので、ご自分の気持ちが落ち着くものを選ぶようにしましょう。
火をつける前はほとんど香りのしないタイプの線香は、旅の間、他の荷物へ匂いが移ることをある程度防いでくれますので、お遍路さんには人気があります。
灯明は、お供えに適した短いタイプのものもあります。

【経本(きょうほん)、勤行本(ごんぎょうぼん)】
正式の巡拝作法では、般若心経のほかに開経偈(かいぎょうげ)、御本尊真言、光明真言、御宝号、回向文など数種類のお経を読経することになっています。
要領の分からない方などは、初めは般若心経だけでも構いませんが、慣れれば是非、正式の巡拝作法で参拝をされることをおすすめします。
四国お遍路用のお経を、読経する順番にまとめた経本も売られていますので、そちらを準備すると便利です。


賽銭・輪袈裟

ここでは、賽銭と輪袈裟についての説明をします。

【賽銭(さいせん)】
納札や線香・灯明と同じように、本堂と大師堂それぞれにお賽銭も必要です。
八十八札所の全ての巡拝で、単純に考えても176回分のお賽銭が必要ということになります。
また札所には、それ以外にもお堂がある場合が多く、そのそれぞれに賽銭箱は置かれています。
もちろんお賽銭は任意でありますし、他のお堂がある場合も必ずお賽銭をあげなくてはならないというものではありません。
それらを念頭に、ご自分の状況に見合ったお賽銭の額を考え、お賽銭としての予算も計算しておくことをおすすめします。
よく言われるのは、「ご縁」との語呂合わせで5円をお賽銭にするというものですね。
全札所分のお賽銭用の小銭を準備するのは大変ですし、旅の間中それを持ち歩くのも困難ですから、最初はある程度の準備にとどめておきましょう。

【輪袈裟(わげさ)】
お坊様が掛けられている袈裟を簡略化したものです。
数珠と同様に、お寺を参拝するときのエチケットとして考えられてもいますので、そういう意味では必ず必要と考えることも出来ます。
白衣の着用はしなくても、平服の上から輪袈裟だけは必ず掛けるという方もおられます。

以上が、参拝をする上で必要となる道具です。
お遍路についての知識を得たり、それに基づいた自分なりの旅の準備をすることから、もう既にお遍路の旅は始まっているとも言えます。
大願成就のためにも、悔いの残らない準備を進めていきましょう。


金剛杖

【金剛杖(こんごうづえ)】
ほとんどのものが長さ130センチほどの、木でできた杖です。
握りやすく疲れにくいように、面取り加工が施され、角が丸くなっているものが人気のようです。
単に歩く時の助けにするための杖ということなら、お手持ちのトレッキングステッキやウォーキング用の杖などを使われても問題ありませんが、金剛杖は特に弘法大師の化身とされており、弘法大師とともに遍路道を旅するという意味でも大切な杖です。
ほとんどの金剛杖には、「同行二人」や「南無大師遍照金剛」と書いてあります。
それらに加えて、その下に般若心経が書かれているものもあります。

金剛杖は、杖の上部に「地水火風空」の梵字が書かれ、五輪の塔を表しています。
これは、昔、お遍路さんが行き倒れて亡くなってしまった時に、この杖を卒塔婆代わりにして葬ったことによります。
梵字の部分を隠すように、布で出来たカバーが被せてありますが、これは、梵字の部分に手が触れるのは失礼だということで、それを防ぐためのものです。
地元のお年寄りの中には、カバーを外したまま旅を続けているお遍路さんを見かけると、「死んだまま歩いている」という人も居るそうです。

多くの方は、この杖を持つことで、寂しい道や険しい道を一人歩いている時でも、常に弘法大師と一緒に歩いているという安心感や一体感を得ることが出来、旅の道中の心の支えと感じておられます。

弘法大師の化身である金剛杖の取扱方には、しきたりに基づいたルールがあり、注意が必要です。
お遍路さんにとってはとても神聖な杖ですので、知らなかったでは済まされないことと肝に銘じ、しっかりと覚えておきましょう。

◆橋の上で杖をつかない。
四十三番札所明石寺から四十四番大宝寺への途中、愛媛県大洲市の国道56号線に「十夜が橋」(とよがはし)という橋があります。
この橋の名前の由来は、修行中の弘法大師が、ここで野宿した際、余りの寒さで一夜を十夜のように感じたという言い伝えによります。
以来、橋の下には弘法大師が休まれているとされ、お遍路さんは、橋を渡るときは杖を突かないならわしになっています。

◆杖の先を刃物などで削らない。
旅を続けるうちに、杖の先はだんだんとささくれ立ってきます。
その場合でも、杖の先は弘法大師の足と同じですので、決して刃物などで削ってはいけません。
地面にこすり付けてささくれをとります。
八十八番札所大窪寺の大師堂前の石畳でささくれを落とすとされています。
その頃には、長旅での磨耗により杖は10センチ以上短くなるといわれています。

◆一日の終わりには、最初に杖の手入れをする。
金剛杖自体が弘法大師とされていますから、その足となる杖の先を必ず最初に洗います。
自分よりも先に洗い清め、床の間などの部屋の中では一番清浄な場所に立て、合掌して感謝の言葉を述べます。
これは、常に弘法大師への感謝を忘れないことにも繋がります。
大切なのは、「自分より先に杖を清め休めること」と、「汚い場所には置かないこと」です。
同様に、休憩時にも先に杖を休ませてから自分の腰を下ろすようにし、お手洗いの中には持って入らずに、必ず外に置くようにします。

◆他人の杖を使ってはいけない。
お遍路さんにとって大切な金剛杖ではありますが、落し物や忘れ物が多いのも実情です。
もし、それらの杖を見かけても、拾って使ってはいけません。
そうすることで他人(持ち主だった人)の業までを背負って歩くことになってしまうとされているからです。
他人の杖と取り違えて使っていることも同じことになりますから、自分の杖はきちんと見分けがつくように、目印に工夫をしましょう。


白衣

では次に白衣についてです。

【白衣(はくえ・はくい)】
お遍路さんの正装は、上下白ずくめの白装束です。
特に上着の背中に、弘法大師を指す「南無大師遍上金剛」と、弘法大師とともに旅をしていることを指す「同行二人」と書かれてあるものがよく着られています。
何も書かれていない無地のものでももちろん構いません。
素材も、昔からの綿素材のものから、扱いの簡単な化繊のものもあります。

白衣には「道中着」と「判衣」の二種類があります。
道中着は文字通り、道中に着用する白衣のことです。
歩き遍路では特に汚れたり汗をかいたりしますので、洗い替え用も用意すると便利かと思います。
また、「笈摺(おいづる)」と呼ばれる袖の無い白衣もあります。
これはベストのように上から羽織るように着用します。
動きやすく、涼しくもありますので、夏のお遍路には重宝します。

判衣は札所で御朱印をいただくためのもので、着用はしませんし、洗濯をすることもできません。
あらかじめ八十八札所と高野山の御詠歌が印刷されています。
全ての御朱印が捺されたものは「死に装束」といわれ、死後浄土に旅立つ際の晴れ着として身に着けます。
そのため、判衣は自分のためだけにではなく、家族や身内の分を用意される方も多くみられます。
御朱印は札所毎200円を納めて捺していただきます。

白衣は必ず着用しなければならないものとはされていませんが、白衣を着る事で気持ちも引き締まりますし、お遍路としての目印にもなりますのでおすすめします。


持鈴・御影帳

【持鈴(じれい)】
読経をする際に、節に合わせて振ります。
また、山歩きでの獣除けや魔除けとして、鳴らしながら歩きます。
澄み切った音色はお遍路さんの代名詞ともいえ、災難に見舞われたときに自分の居場所を知らせるためにも役立ちます。
白衣や、山谷袋につけて歩きます。
歩くたびに鳴る持鈴の音は、煩悩を払いのけて、旅の間の清浄な心の活動を助ける響きと言われます。

四国では昔から、この持鈴の音は春を告げる音として親しまれています。

金剛杖のカバーについている鈴(すず)は、持鈴とは違い、熊除けの鈴と同じ意味のものになります。

【御影帳(おみえちょう、または、おすがたちょう)】
納経帳や納経軸を納経すると、札所で御本尊が描かれたお札がいただけます。
このお札のことを「御影(おみえ、おすがた)」と言います。
御影帳は、この御影を保存しておくものです。
アルバムのように
通常いただける御影は白黒ですが、カラーの御影もあります。
カラーの御影は一枚につき200円の納経料が必要です。
また、御影がいただけるのは、納経帳と納経軸を納経した場合のみで、判衣(納経用の白衣)の場合はいただけません。

御影帳には札所の写真や御詠歌などがあらかじめ印刷されています。
いただいた御影を大切に保存するとともに、お遍路の旅の素晴らしい記念品となります。
八十八ケ所全てを参拝された方には、掛け軸や額に表装する方もおられます。
カラーの御影を表装したものは、大変美しい仕上がりになります。


菅笠

【菅笠(すげがさ)】
巡礼の伝統的な道具の一つであり、また、日光や雨をしのぐ、旅のための実用品でもあります。
菅笠は菅という植物から作られている笠であり、農作業でも良く使われています。
そのほかにも、ヒノキで作られた笠や、竹から作られる網代笠などもあります。
お遍路で使われるものを、特に「へんろ笠」と呼ばれることもあります。

お遍路で良く使われるものは、弘法大師をあらわす梵字と、弘法大師とともに旅をしているという意味の「同行二人」という文字、「迷故三界城」「悟故十方空」「何処有南北」「本来無東西」という文字が書かれているものです。
読み方は、「迷うがゆえに三界はしろなり」「悟るがゆえに十方は空なり」「ほんらい、東西無く」「いずくんぞ南北あらん」となります。

被るときは梵字が前になるように被ります。
菅笠はお堂の中でも取らなくてもよいことになっていますので、被ったまま参拝をすることができます。
手持ちの帽子などでも構いませんが、菅笠は風通しがよく、頭が蒸れにくいので、帽子よりも快適です。
ある程度の雨でしたら、菅笠でよけることが出来ますので、傘を差して歩くということもなくなります。
へんろ笠として売られているものには、たいていビニールカバーがついてきますので、しっかりとした雨具としても使えます
大きさはさまざまあります。
日よけとして使うことを考えると大きいものの方が良いように思われがちですが、あまり大きすぎるとリュックなどに当たって被りづらくなりますし、風の強い日はあおられやすくなります。


納経帳・納経軸

各札所で御朱印をいただくために必要なものとして、「判衣」のほかに「納経帳」と「納経軸」があります。
納経は必ずしなくてはならないというものではありませんが、お遍路の旅の達成感や充実感も得られますし、全て参拝し終えた証にもなりますので、おすすめします。

【納経帳(のうきょうちょう)】
神社を参拝した際に用いる「御朱印帳」と、御朱印をいただくためのものという意味では同じものです。
納経帳とは、もともとは写経をおこなったものを納めた証を記していただくものだったことからついた名前です。

札所では、納経帳に御本尊の名前と御本尊をあらわす梵字、寺院の名前を墨で書き入れ、御朱印を押していただけます。
これらは、市販のノートや色紙といったものにはいただけません。
また、納経料として札所毎に300円が必要となります。

八十八ケ所を全て参拝し終え、再びお遍路の旅に出る場合は、同じ納経帳を使い、上から御朱印を捺していただきます。
これを「重ね印」といいます。
何度もお遍路をされた方の納経帳は、御朱印で赤く染まっているといわれます。

【納経軸(のうきょうじく)】
使い方は納経帳と同じです。
各札所に持参し、納経、御朱印をいただきます。
お遍路用に、あらかじめ八十八ケ札所と高野山、弘法大師が印刷されたものがほとんどですが、阿弥陀如来や釈迦如来が印刷されているものもあり、宗派によって使い分かることができます。
納経軸への納経料は札所ごとに500円となります。
全ての札所の参拝し終えたら、表装をし、掛け軸にします。
額に入れることの出来る額装用の納経軸もあります。



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