四国八十八ヶ所 巡り 入門では四国八十八箇所の巡り方、作法、地図、霊場一覧などをご紹介しております。

2010年11月

お遍路の意義

その昔のお遍路は、信仰に基づくものや、現世や来世のご利益のためのものがほとんどでした。
現在のお遍路は、信仰心からだけでなく、何らかの願いや希望を抱いて始めるという人も多いと言われています。

「家内安全」「商売繁盛」「無病息災」「良縁成就」「子宝」といった祈願や、祖先や身近な者の「供養」などが多くなりますが、なかには、歩くことによって健康を維持したいと願う方や、歩き続けることによる自己鍛錬のためという方、現代病ともいえるストレスの解消や癒しを求めてという方、今までの人生を懺悔するためという方、生きる目標をみつけるためという方、自分探しのためという方など等、さまざまな理由があります。
皆それぞれに、結願へ向けてのいろいろな想いを抱えながらお遍路を始められるのだと思います。
それぞれの想いや願いは、一番から八十八番までの巡拝で結願し、最後に高野山の奥の院を参拝することで大願成就します。

人間には百八つの煩悩があるといわれています。
お遍路の霊場八十八ケ所を巡ることによって、その煩悩が消え願いがかなうといわれています。

また、お遍路は、弘法大師とともに四国の大自然の中を巡るなかで、煩悩を一つ一つ取り除いていきながら、心身ともに磨き自分自身を見つめ直す旅、修行の旅だとも言われています。

旅の途中で地元の人の「お接待」を受け、厚い心遣いに触れることで、お遍路の心は癒されていきます。
俗塵を離れ、自然の中で生かされていることを知り、人々の人情に感謝し、そうして生きる喜びを見出していきます。


お遍路の順番

札所には一番から順に番号が付いていますが、必ずしも順番どおりに巡拝しなくてはならないというわけではありません。
お遍路道は環状になっていますので、それぞれ住んでいる地域や巡拝の手段などで旅の基点は変わってきます。

八十八ケ所の札所は、弘法大師が密教の曼荼羅の世界を投影したという思想から、それぞれを「発心」・「修行」・「菩提」・「涅槃」の道場に分けられています。
「発心の道場」の最初となる一番札所を基点として旅を始められる方の数が多くなるのは、そのためです。

・発心の道場
阿波の国、今の徳島県にある札所23箇所をいいます。
発心とは、菩提を求める心を起こすことを指します。
お遍路を思い立った人たちにとっては、発心が始まりの道場となります。

・修行の道場

土佐の国、今の高知県にある16箇所の札所のことです。
弘法大師の教えにある修行とは、難行苦行の修行ではなく、心身ともに仏道を身につけて善行を積むといったことを指します。

・菩提の道場
伊予の国、今の愛媛県にある26箇所の札所になります。
菩提とは、あらゆる煩悩を断ち切り、不生不滅の理を悟って初めて得ることができるといわれています。
発心、修行の道場を経て、たどり着くのが菩提です。

・涅槃の道場
讃岐の国、今の香川県にある23箇所の札所のことです。
菩提を経て、一切の煩悩を滅ぼし解脱の境地に立つこと、それが涅槃といわれています。
香川県下には弘法大師ゆかりのお寺がたくさんあります。


お遍路の打ち方

札所を参拝することを「打つ」と言います。
これは、納札が木でできていた昔は、札所の本堂や大師堂の柱などに納札を打ち付けていたことからきています。
今では、納札は紙製になりましたので「打つ」姿は見られなくなり、言葉だけが残りました。

札所を参拝して回る、その回り方を「打ち方」といい、下記のように分けられます。

【順打ち】
一番札所から札所の番号順に回ることを「順打ち」といいます。

【逆打ち】
順打ちとは逆に、八十八番札所から回る打ち方です。
逆打ちをすると、弘法大師に会うことができるといわれています。
これは、昔、四国に住んでいた衛門三郎という強欲非道の人が、我が子を亡くすという天罰を受けたという故事からきています。
八人の我が子を亡くした衛門三郎は、過去の過ちを償い、弘法大師に許しを請うために、弘法大師の後を追う旅を始めました。
これが最初のお遍路であるとも言われています。
四国を二十度回っても弘法大師に出会うことの出来なかった衛門三郎は、弘法大師が行かれた方向とは逆の方向から回れば、必ずいつかは弘法大師に会えると考え、逆の方向から旅を始めました。
途中、疲れきって倒れた時、目の前に弘法大師が現れました。
ようやく許しを得た衛門三郎は、そのまま息を引き取ったとされ、これが逆打ちの所以とされています。
逆打ち一回は順打ち三回分の功徳やご利益があるとも言われています。
ただし、順打ちに比べて道が険しく困難な道のりであるため、この打ち方をするお遍路さんはあまりいません。

【通し打ち】
八十八ケ所の全部の札所を一度に巡拝することを「通し打ち」と言います。

【区切り打ち】
札所を自分の任意の分け方で分けて回る打ち方です。
回る札所の数も、順番も、自由に決められます。
多くの方は2?3日など数日間ずつの予定で回られているようです。
ツアーなどを利用する方法も、この「区切り打ち」になります。

【一国打ち・一国参り】
一県を一国として、一県ずつ回っていく打ち方です。
回る順番を自由に決められるところは、「区切り打ち」を似ています。


お遍路と巡礼

「巡礼」は、お遍路と同様、参拝のために札所や霊場などを、旅をしながら巡ることをいいます。
巡札で巡る札所や霊場は全国各地にありますが、なかでも、近畿地方と岐阜県の33箇所の観音霊場を巡る「西国三十三ケ所」、神奈川県から東京・埼玉・群馬・栃木・茨城そして千葉県の33箇所の観音霊場を巡る「坂東三十三ケ所」、埼玉県秩父地方の観音霊場を巡る「秩父三十四ケ所」が有名です。
この、西国・坂東・秩父をあわせて「日本百観音」といわれ、その結願寺は「秩父三十四ケ所」の三十四番水潜寺です。
結願後は長野の善光寺へ参ることが慣例となっています。
お遍路は、巡札のうちでも、特に弘法大師の足跡を巡って参拝をする旅のことを指して言われています。

巡札とお遍路では、参拝の方法が少し異なります。

お遍路では、弘法大師の化身または分身とも言われる金剛杖と呼ばれる杖を持って巡る方が多いのですが、巡札では特に杖は必要ありません。
歩き続けるために必要な人は持って歩きましょうという程度のものです。
また、白衣の背文字も観音様の文字が書かれるか、もしくは背文字無しとなります。

札所や霊場での参拝時に唱えるお経も異なります。
お遍路では、開経偈、般若心経に続き、御本尊の真言、弘法大師様の真言などを決められた通りに、順に唱えます。
巡札では、それぞれに宗派が違うことから、決まったお経というものはないようです。
多くの参拝者は般若心経、もしくはそれに加えて十句観音経を唱える方もいらっしゃいます。


お遍路の手段

お遍路の手段にもいろいろあります。
その中でも一般的なものをまとめてみました。

【徒歩】
徒歩での巡拝は「歩き遍路」と呼ばれ、お遍路の本来の姿でもあります。
一日約30キロの道のりを歩き、40日から60日程度を掛けて巡拝を終えます。
「お接待」と呼ばれる地元の方とのふれあいや、四国の自然を感じながら巡ることができ、結願後の達成感もより大きくなります。

【自動車や自転車などを使う】
マイカーやレンタカー、オートバイや自転車などを利用して巡る方も、最近は増えてきています。
ただし、山道や細い道などが多い地域もありますので、特に車の運転には注意が必要になります。

【公共交通機関を使う】
体力に自身のない方や身体的な理由などで、歩き遍路が無理な方は、一部を公共交通機関を使って巡ることも出来ます。
ただし、公共交通機関のない区間や、バスや電車の運行本数が少ないなどの地域もあります。

【貸切タクシーを利用する】
お遍路を専門にしている貸切タクシーもあります。
門前まで車で入ることのできるお寺も多く、歩くのは境内のみと言う場合が多くなり、高齢者の方や体力に自信のない方には便利です。

【ツアーを利用する】
お遍路を専門に扱っているツアーもあります。
道程を何回かに分けて、全てのツアーに参加することで結願となる、日帰りや数泊の旅行に出かけるような気軽さで利用できるものから、何泊も掛けて一回で全てのお寺を回りきるような本格的なものまで、各旅行会社によってさまざまなツアーが用意されています。


お遍路の費用について

巡拝の手段によって、お遍路にかかる費用も異なってきます。
一般的な巡拝手段について、それぞれの費用を調べてみました。

【歩き遍路】
一ヵ月半から二ヶ月の日数を掛けて巡拝をしますので、かかる費用の大半は宿泊費用になります。
比較的安価な宿泊施設に泊まり、50日間で巡拝を終えたとして、7,500円×50日=375,000円です。
食事代や交通費を考えると500,000円は必要といわれています。
目安としては、一日10,000円と考えるといいでしょう。

【車を使う】
車で全てを回るのにかかる日数は、12日程度といわれています。
その間の宿泊費、ガソリン代、有料道路代、駐車料金などを合わせて、150,000円前後といわれています。
自由な旅程で回れますので、巡拝する札所にその他の観光地などを組み合わせた観光旅行も可能になります。
レンタカーを利用する場合は、その他にレンタカー代が加わります。

【貸切タクシーを利用する】
所要日数は約10日をいわれています。
費用は参加人数によって変わり、2名での利用で一人約300,000円、8名での利用では一人170,000円程度とされています。

【ツアーを利用する】
旅行会社が募集するお遍路用のバスツアーでは、日帰りまたは1泊2日の日程を12~15回ほどに分けて結願するツアーが多いようです。
一回のツアー料金はそれほど高額ではないようですが、全部のお寺を回ると、合計で200,000~250,000円程度になります。

こうしてみますと、歩き遍路は、達成感など満足も得られますが、所要日数と費用もそれなりに必要のようです。
そのためか、歩き遍路は「贅沢遍路」といわれることもあります。


お遍路で歩く距離で歩く距離は?

歩く距離は、巡拝の手段によって大きく異なってきますので、お遍路を考えるに当たって、一番重要な要素ともいえます。

結願を無事迎えるためにも、自分の体力や年齢に合わせた巡拝手段を、よく考えましょう。

【歩き遍路】
当然ですが、歩き遍路が一番長く歩くことになります。
一番から八十八番まで、約1,400キロの道のりとなります。
また、歩き遍路を始めたら、1ヶ月から2ヶ月近くの日数を、ほとんど毎日歩くことになります。
途中では、「お遍路ころがし」といわれる、転げ落ちそうなほどの急な山道や階段などもあります。
歩き遍路のためには、事前の体力づくりや情報収集などの準備を確実に行いましょう。
歩き通すには、体力はもちろん、精神力も必要です。
その分、結願の感激や感動は、他のどの手段でも味わえないものがあります。

【車での巡拝】
マイカーやレンタカー、貸切タクシーなどの車は、ほとんどのお寺で、門前まで行くことができます。
歩くのは境内のみといっても、階段の多いお寺や境内の広いお寺もありますので、それなりの距離を歩く覚悟は必要です。

【バスツアーでの巡拝】
バスで門前まで行くことのできるお寺は約半分程度といわれています。
それ以外のお寺は、バスを降りてから門前まで歩くことになりますので、歩く距離はかなりの距離になることを知っておきましょう。
旅行会社のバスツアーは団体行動になります。
団体行動に遅れ、他のツアー客に迷惑を掛けることのないようしましょう。
足腰に自身のない方は、事前に鍛えておく必要があります。
旅行会社によっては、参加制限を設けている場合もあります。


数珠について

お遍路さんの道具の中でも、特に参拝に必要なものをまとめてみました。
参拝に必要ということは、必ず必要ともいえるものです。
お遍路の旅を考え始められると同時に揃えていかれてもいいかもしれませんね。

お遍路とは、もともとお寺を巡拝して回ることですので、そのために必要な数珠や線香・ロウソク、お賽銭、納札は、お遍路の旅の前に必ず準備しましょう。
また、巡拝の際の読経は、本来経本を見ながら唱えることになっていますので、読経をされる方は経本も準備します。

【数珠(じゅず)、念珠(ねんじゅ)】
お遍路で使う数珠は、真言宗の本連が一番良いとされていますが、決まりではありません。
ご自分の宗派の数珠、または既にお持ちの数珠でも構いません。
ただ、お遍路さんの落し物のなかで一番多いものは数珠だと言われています。
そういったことから、両親から贈られたり、先祖から伝わるような大切な数珠を失くさないためにも、お遍路用に真言宗の数珠を準備されるという方も多くいらっしゃるようです。
逆に、自分の宗派に合わない数珠を持つことに不安を感じる方もおられると思います。
その場合でも、ほとんどの宗派で「お遍路参りの際は真言宗用の数珠を使用しても構わない」とされていますので、安心です。

本連は、煩悩の数と同じ108個の珠が連なっています。
長くなりますので、二重または三重にしたものを左手に巻きつけて持ちます。
邪魔になるから、または失くさないためにという理由で、ネックレスのように首から下げる方がおられますが、それだけはやめてください。


納札

写経が準備できなかった方は納札を用意しましょう。

【納札(おさめふだ)または納め札】
札所を参拝した際に納めるお札のことで、本堂と大師堂へそれぞれ一枚ずつ納めますので最低でも176枚が必要となります。
納札は100枚綴りで一冊になっていますので、二冊は必要ということになります。

納札の表には、参拝した日付・住所・氏名を記入し、裏面には祈願を書き入れます。
多くの方は、お遍路の旅に出る前に自宅などで記入を済ませてしまい、札所で納めるばかりの状態にされておられます。
その場合は日付を「吉日」(平成○年○月吉日)と記入しておきます。
そうすれば、同じ月の間中は何日の参拝であっても使うことが出来ます。
住所は詳しく記入する必要はなく、市名・町名までで十分です。
裏面の願い事については特に決め事はありません。
親や身内など、老齢のためお遍路に出かけられない方などの願い事を書かれても構いません。

注意しなくてはいけないのは、納札の色です。
巡拝した回数によって使う色が決められています。
初めてお遍路の旅をされる方は白色のものを購入しましょう。
回数とその色は以下の通りです。
・1~4回   白
・5~7回   緑
・8~24回  赤
・25~49回 銀
・50~99回 金
・100回~  錦

金色と錦色の納札は市販はされておりません。
霊場会本部の許可をもらう必要があります。

納札は、そのほかにも、お遍路さん同士での名刺代わりにしたり、旅の途中でお接待を受けたときの挨拶やお礼の意味でも使われます。



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